
株式会社メリルは、Webメディア運営やWebマーケティング支援、そして最先端のSEO/LLMO支援を行う企業です。登録者数14万人を超えるYouTubeチャンネル「ウェブ職TV」では、代表の中島大介氏(なかじさん)が、ブログ運営のノウハウや最新のAI事情を鋭い視点で発信しています。
Google検索に「AI Overview(AIO)」が登場し、検索体験が激変する昨今。従来のSEO対策以上に重要視され始めているのが「LLMO(大規模言語モデル最適化)」です。
今回は、AI時代の新たなスタンダードとなりつつあるLLMOの重要性と、企業やメディア運営者が今すぐに取り組むべき対策について詳しくお話を伺いました。
そもそも「LLMO」とは何か? なぜ今、必要なのか?

── SEO界隈で急速に話題になっている「LLMO」ですが、改めてその概要を教えてください。
なかじ:LLMOは「Large Language Model Optimization」の略で、日本語では「大規模言語モデル最適化」と呼ばれます。
ChatGPTやClaude、GeminiといったAIは、LLM(大規模言語モデル)という基盤で動いており、これによって文章生成や意味理解を行っています。このLLMに最適化し、「AI検索エンジンに引用されやすくする対策」こそがLLMOです。
── なぜ今、従来のSEOよりもLLMOが重要視されているのでしょうか?
なかじ:一番の理由は、Googleの検索結果にAI Overview(AIO)が表示されるようになり、従来のオーガニック検索(Webサイトの一覧)からの流入が減ってきているからです。
すでに、検索結果の画面いっぱいにAIの回答が表示される「AIモード」が採用されており、こうなると、ユーザーは検索結果だけで満足してしまい、サイトに訪れなくなる可能性があります。
だからこそ、「検索順位を上げる(SEO)」だけでなく、「AIの回答の中に引用元として表示される(LLMO)」が重要になってくるわけです。
── AIに引用されると、実際の成果(コンバージョン)に繋がるのでしょうか?
なかじ:はい、コンバージョン率(CVR)はむしろ高くなると言われています。
SEOツールのAhrefsが出しているデータでは、「AI Overview経由のクリックは、オーガニック検索経由の23倍のCVRがある」という結果も出ています。AIが「これが答えです」と提示したリンクは、ユーザーからの信頼度が非常に高いということですね。
SEOとLLMOの決定的な違いとは?

── 従来のSEOとLLMOでは、やるべき対策は全く別物なのでしょうか?
なかじ:答えは「No」です。基本的な対策はSEOもLLMOも驚くほど重複していて、「違うところなんて全くない」と言ってもいいくらいです。
ただ、「対策の比重(バランス)」が大きく変わります。
これまでのSEOでは、自分のサイト内に記事を量産する「内部対策」がメインでした。しかし、自分のサイト内であれば、「当社は世界No.1です」とか「中島大介は医師免許を持つ天才です」なんて嘘も書けてしまいますよね(笑)。
当然、GoogleもAIも、こうした「自称」の情報は信憑性が低いと判断します。
── では、どうすればAIに信用されるのでしょうか?
なかじ:第三者に言及されることが重要です。
例えば、私が本当に天才的な頭脳を持っているのであれば、ニュースサイトやSNS、YouTubeなど、外部のメディアでも話題になっているはずです。AIはそういった「外に広がっている情報」を拾って事実確認を行います。
つまり、LLMOにおいては「自サイトの充実(内部対策)」以上に、「外部からの評価・言及(外部対策)」が圧倒的に重要になります。
「エンティティ」と「ブランド価値」が勝負を決める

── LLMO対策において、最も重要な核となるものは何でしょうか?
なかじ:「ブランド価値を上げること」に尽きます。
例えばAppleの社員が「iPhoneはいいぞ!」と言うより、第三者が「iPhone最高!」と言っている方が説得力がありますよね。
まずは「分かりやすいコンセプト」で「良いもの」を作り、それを外に向けて発信して、ブランドとして認知してもらう。この泥臭い積み重ねが重要になります。
── 専門用語で「エンティティ」という言葉もよく聞きますが、これはどう関係しますか?
なかじ:AI時代には、この「エンティティ(Entity)」の概念が非常に重要になります。
少し難しい概念ですが、簡単に言うと「AIが『これはこういう人・物・場所だ』と明確に認識できる実体」のことです。
例えば、「中島大介」もエンティティですし、「株式会社メリル」もエンティティです。そしてAIは、「”中島大介” は ”株式会社メリル” の代表である」というように、エンティティ同士の「関連性(つながり)」をナレッジグラフというデータベースで管理しています。
自ら積極的に情報を発信し、ネット上で名前やサービス名を露出させていかないと、AIはこの「関連性」を認識してくれません。AIに「この会社は、この分野の専門家だ」と正しく認識(エンティティ化)させることが、引用されるための第一歩なんです。
ブログやWebサイトは「オワコン」ではなく「資産」になる

── AIが回答してくれるなら、もうWebサイトやブログは不要(オワコン)なのでしょうか?
なかじ:そんなことはありません。むしろ逆で、Webサイトやブログの価値は残ります。
AIの学習データ元はWebサイトですし、AIの回答だけで満足できないユーザーは必ず一次情報を求めます。
また、最近ではCloudflareなどが提唱している「Pay per Crawl(AIがサイトを読み込む際に対価を支払う仕組み)」なども議論され始めています。現在はAIがコンテンツにタダ乗りしている状態ですが、今後仕組みが整備されれば、質の高いコンテンツを持つサイト運営者の価値はさらに上がります。
参照:Cloudflare
── SNSやYouTube全盛の時代ですが、それでもWebサイトを持つ意義はありますか?
なかじ:もちろんです。SNSやYouTubeはプラットフォーム(他人の土地)をお借りしている状態ですが、Webサイトは自分でドメインを取ってサーバーを借りて作れば、自分の「資産」になります。
SNSは媒体ごとの制限がありますが、テキスト、画像、動画、何をどう表現しても自由なのもWEBサイトの魅力ですね。
ただ、AIを意識する必要は出てくるので、これからのコンテンツ制作では「一文一文で完結させる(AIが引用しやすい)」ことを意識しつつ、人間にしか出せない独自性や面白さを追求していく必要があります。
株式会社メリルの「LLMO診断」で、AI時代の先手を打つ

── 御社では「LLMO診断」を提供されていますが、具体的にどのようなメリットがありますか?
なかじ:LLMOはまだ始まったばかりの概念で、正直、世界中の誰も「100%の正解」を持っていません。情報のほとんどは海外発信ですし、私自身も常に海外の最新情報を分析しています。
弊社の診断では、そうした最新知見に基づき、競合のAIO分析やサイト構造の診断を行い、「今、具体的に何をすべきか」を提案します。
── 予算が限られている中小企業でも依頼は可能でしょうか?
なかじ:はい、可能です。クライアント様の予算に合わせて、優先順位の高い施策から提案させていただきます。
1万円では難しいですが、例えば、5〜10万円といった予算感でも、その範囲でできる最大限の初動対策をサポートします。もちろん、予算が増えればより包括的な対策が可能になります。
── 最後に、どのような企業がLLMO対策を検討すべきでしょうか。
なかじ:これまでSEOに力を入れていたのに、「直近でオーガニック検索からの流入が減っている」と感じる企業様は、早急に対策すべきです。
AI検索のシェアが拡大していくことはわかっているので、「今やるか、2〜3年後にやるか」で、残存者利益は大きく変わります。
競合他社が本格的に動き出す前の「今」こそが、AI時代を勝ち抜く最大のチャンスだと思います。
株式会社メリル 代表取締役 中島大介
2005年よりブログ運営・SEO対策をスタート。2011年、大阪のIT系ベンチャー広告代理店に入社し、主にEC通販領域でアフィリエイト広告運用に従事。2014年に独立、2015年に株式会社メリルを創業。現在はWebサービスやYouTubeなどの自社メディアを運営しながら、幅広い領域でSEO、LLMOの伴走支援サービスを企業向けに提供中。2025年4月に株式会社メリルと大阪府豊中市で連携協定を締結。