2024.11.26 Tue
直帰率とは?離脱率との違いや改善すべき課題とその解決策7選
・自社サイトの直帰率が高すぎるかどうか気になる
・直帰率と離脱率の違いがイマイチ分からない
・効果的な改善方法を知りたい
このようなお悩みはありませんか?
直帰率は、サイトのパフォーマンスを測る重要な指標の一つです。適切に把握し改善することで、CVRの向上やユーザー満足度の改善につながります。
そこで、この記事では直帰率の基本から改善方法まで、実践的な内容を徹底解説します。GA4での確認方法や業界別の平均値なども含めて、具体的に説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
直帰率とはどんな指標なのか
直帰率は、Webサイトの分析において重要な指標の1つです。
直帰率とは「サイトに訪れたユーザーのうち、最初のページだけを見て離脱した人の割合」を表す指標です。
具体的には以下の式で計算されます。
直帰率の計算式 |
直帰率 = 直帰したセッション数 ÷ 全セッション数 × 100 |
例えば、1日に100人がサイトを訪れ、そのうち60人が1ページだけを見て離脱した場合、直帰率は60%となります。
この指標は、以下の3つの状況で直帰としてカウントされます。
直帰としてカウントされる状況 | 具体例 |
---|---|
1ページだけ見て「戻る」ボタンを押す | 記事を読んで興味がなかったため、検索結果に戻る |
1ページだけ見てブラウザを閉じる | 必要な情報が得られたため、タブを閉じる |
1ページだけ見て他のサイトに移動する | 別のサイトのリンクをクリックして移動する |
直帰率は、サイトのコンテンツや導線設計が適切かどうかを判断する重要な指標となります。
ただし、高い直帰率が必ずしも悪いわけではありません。
例えば、お問い合わせページや住所を掲載しているページなど、1ページで用件が完結する場合は、直帰率が高くなるのが自然です。
そのため、直帰率は「ページの目的」や「サイトの種類」を考慮しながら分析する必要があります。
直帰率と離脱率の違いをわかりやすく解説
直帰率と離脱率は、似ているようで異なる指標です。
Webサイトの分析では、これらの指標を正しく理解し、使い分けることが重要です。
まずは、それぞれの定義を明確にしましょう。
直帰率は「サイトに訪れたユーザーのうち、最初のページだけを見て離脱した割合」を指します。
一方、離脱率は「特定のページを最後に見て、サイトから離脱した割合」を表します。
このように、似て非なる2つの指標には明確な違いがあります。
直帰率と離脱率の違いを整理するポイント
両者の違いを理解するためには、3つのポイントに注目する必要があります。
測定対象
1つ目は「測定対象」の違いです。
直帰率はサイト全体の入口ページが対象なのに対し、離脱率はすべてのページが個別に測定対象となります。
計測タイミング
2つ目は「計測タイミング」です。
直帰率はサイト訪問直後の行動を見るのに対し、離脱率は各ページの閲覧後の行動を計測します。
分析の目的
3つ目は「分析の目的」の違いです。
直帰率は入口ページの適切性を評価するのに対し、離脱率は各ページの導線の効果を評価します。
具体例を用いた違いの解説
それでは、3つの異なるWebサイトを例に、直帰率と離脱率の違いを具体的に見ていきましょう。
【ECサイトの場合】
ユーザーが商品一覧から商品詳細、カートと進み、カートページで離脱したケースを考えます。この場合、複数ページを閲覧しているため直帰としてはカウントされません。しかし、カートページでの離脱率としてはカウントされます。
【ブログサイトの場合】
あるユーザーがGoogleから記事Aに訪れ、その後関連記事Bを読み、さらに記事Cまで読んで離脱したケースを考えてみましょう。この場合、複数記事を読んでいるため直帰ではありませんが、記事Cの離脱率としてカウントされます。
【企業サイトの場合】
ユーザーが企業の電話番号を調べるために「お問い合わせ」ページに直接アクセスし、電話番号を確認して即座に離脱したケースを考えます。このケースは1ページのみの閲覧なので直帰としてカウントされ、同時にお問い合わせページの離脱率としてもカウントされます。
GA4での直帰率の確認方法と計算方法
GA4(Google Analytics 4)では、直帰率の確認方法が従来のユニバーサルアナリティクスから変更されています。
新しいGA4では、より詳細な分析が可能になっただけでなく、確認手順も簡略化されています。
それでは、具体的な確認方法と計算方法を見ていきましょう。
GA4で直帰率を確認する基本的な手順
GA4では、データを段階的に掘り下げることで、直帰率の詳細な分析が可能です。
基本的な確認方法は簡単で、管理画面から数回のクリックで必要なデータにアクセスできます。
それでは、具体的な手順を見ていきましょう。
1. GA4の管理画面にログインする
2. 左側のメニューから「レポート」を選択
3. 「ライフサイクル」をクリック
4. 「獲得」を選択
5. 「トラフィック獲得」をクリック
6. 画面上部の指標から「直帰率」を選択
この画面では、サイト全体の直帰率データを様々な角度から確認することができます。
グラフでは、選択した期間における直帰率の推移が一目でわかります。時系列での変化を追うことで、施策の効果や問題点を素早く把握できます。
また、流入元の分析では、検索やSNS、メールなど、どの経路からの訪問者が直帰しやすいのかを比較できます。
さらに、デバイス別の分析により、PCやスマートフォン、タブレットなど、利用端末ごとの直帰率の違いも明確になります。
そして、ランディングページごとの直帰率を見ることで、どのページで改善が必要なのかを具体的に特定することができます。
探索レポートを使った詳細な分析方法
より詳しい直帰率の分析には、GA4の探索レポートが便利です。
探索レポートは左メニューの「探索」から簡単にアクセスできます。
このレポートの特徴は、自由な視点でデータを掛け合わせて分析できる点です。
例えば、「GoogleからのアクセスでiPhoneユーザーの直帰率が高い」といった具体的な課題を見つけることができます。
探索レポートでよく使う分析パターンを3つ紹介します。
1. 流入元とデバイスを組み合わせた分析
検索エンジンやSNSなどの流入元と、PCやスマートフォンなどのデバイスを掛け合わせて分析します。これにより「Twitterからのスマートフォンユーザーの直帰率が高い」といった具体的な課題が見えてきます。
2. 時間帯と曜日による分析
アクセス時間と曜日を組み合わせることで、「平日の夜間に直帰率が高い」など、時間軸での傾向を把握できます。コンテンツの公開タイミングの改善にも役立ちます。
3. 地域とコンテンツの分析
訪問者の地域とよく見られているコンテンツを組み合わせることで、「関東地域からのアクセスで特定の記事の直帰率が高い」といった地域特性が分かります。
また、探索レポートではセグメントという機能も利用できます。
セグメントを使うと「新規ユーザーのみ」「特定のページを見た人のみ」など、分析したい対象を絞り込むことができます。
正確な直帰率の計算方法
GA4における直帰率の計算式は以下の通りです。
直帰率 = 直帰セッション数 ÷ セッション開始数 × 100
ここで重要なのは、GA4では「エンゲージメント」という新しい概念が導入されている点です。
GA4では以下の条件のいずれかを満たすと、直帰としてカウントされません。
・10秒以上ページに滞在
・2つ以上のページを閲覧
・コンバージョンイベントの発生
例えば、1ページしか見なくても10秒以上滞在した場合は直帰としてカウントされません。
このため、従来のユニバーサルアナリティクスと比べると、一般的に直帰率は低く表示される傾向があります。
直帰率の適切な目安と平均値について
Webサイトの直帰率について、「良い数値」の基準を知りたいという声をよく耳にします。
しかし、直帰率の適正値は業界やサイトの種類、流入経路によって大きく異なります。
そのため、一概に「この数値が良い」とは言えません。それぞれの特徴を理解し、自社サイトにあった目標値を設定することが重要です。
業界別の直帰率の平均値
業界によって直帰率の平均値には大きな違いがあります。
主な業界の平均的な直帰率は以下のような傾向にあります。
ECサイト:40〜60%
ECサイトとは、商品やサービスをオンラインで販売するサイトです。
商品を比較検討することが多いため、比較的直帰率は低めです。特に価格の比較や商品詳細の確認のために複数ページを見る傾向があります。
メディアサイト:65〜85%
メディアサイトとは、ニュースや記事を配信するサイトです。
検索から流入して必要な情報を得た後、すぐに離脱するケースが多いため、直帰率は高めになります。
BtoB企業サイト:50〜70%
BtoB企業サイト企業間取引を行う企業のサイトです。
製品情報やサービス内容の確認が目的の訪問が多く、中程度の直帰率となるのが一般的です。
Webサイトの種類による直帰率の違い
サイトの種類や目的によっても、適切な直帰率の基準は変わってきます。
ポータルサイト:30〜50%
ポータルサイトとは、Yahoo!やGoogleのように情報やサービスの入り口となる総合サイトです。
トップページから様々なコンテンツへの導線があるため、直帰率は低めが理想的です。複数のページを閲覧してもらうことが重要です。
ブログ:70〜90%
ブログとは、個人や企業が記事形式で情報を発信するWebサイトです。
特定の情報を得るために訪問するユーザーが多く、目的の情報を得た後すぐに離脱するのが一般的です。高めの直帰率でも問題ない場合が多いです。
コーポレートサイト:45〜65%
コーポレートサイトとは、会社案内や事業内容を紹介する企業の公式サイトです。
企業情報や採用情報など、複数ページでの情報収集が想定されるため、中程度の直帰率が一般的です。
ランディングページ:70〜90%
ランディングページとは、商品やサービスの申込・購入に特化した単一ページです。
1ページで情報提供から申し込みまでが完結するため、直帰率は高めになります。ただし、コンバージョン率が重要な指標となります。
流入経路別の直帰率の特徴
流入経路によっても、直帰率の特徴は大きく異なります。
自然検索からの流入:50〜70%
自然検索とは、Googleなどの検索エンジンからの訪問です。
検索意図に合致したコンテンツであれば、中程度の直帰率に収まることが多いです。検索キーワードとコンテンツの整合性が重要です。
SNSからの流入:70〜90%
SNSからの流入とは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSからの訪問です。
気軽にリンクをクリックする傾向があり、直帰率は比較的高めです。SNS経由の場合、ユーザーの興味を引く導入部分が特に重要になります。
直接流入:40〜60%
直接流入とは、ブックマークやURL直接入力による訪問です。
URLを直接入力して訪問するユーザーは目的意識が明確なため、直帰率は低めとなる傾向があります。
メールマガジンからの流入:30〜50%
すでに関心を持っているユーザーが多いため、直帰率は低めになります。ただし、メール内容との整合性が重要です。
直帰率を改善するべき理由とその効果
多くのWebサイトにとって、高い直帰率は改善が必要なサインとなります。
ただし、すべてのサイトで直帰率を下げる必要があるわけではありません。目的に応じて適切に判断することが重要です。
では、なぜ直帰率の改善が必要なのか、その理由と効果について詳しく見ていきましょう。
高い直帰率が示す問題点
高い直帰率は、以下のような問題を示している可能性があります。
ユーザーの期待との不一致
検索キーワードとコンテンツの内容が合っていない場合、ユーザーは目的の情報を見つけられずすぐに離脱してしまいます。これは検索上位表示にも悪影響を及ぼす可能性があります。
表示速度の問題
ページの読み込みが遅いと、ユーザーはコンテンツを見る前に離脱してしまいます。特にスマートフォンユーザーは表示速度に敏感です。
デザイン面の課題
文字が小さすぎる、レイアウトが分かりにくいなど、ユーザビリティに問題があると、ユーザーは情報を探すことを諦めてしまいます。
コンテンツの質の問題
情報が古い、説明が不十分、専門用語が多いなど、コンテンツの質に課題があると、ユーザーの期待に応えられません。
直帰率改善がCVR向上につながる理由
直帰率の改善は、以下の理由でコンバージョン率(CVR)の向上につながります。
ユーザー理解の深化
複数のページを閲覧することで、商品やサービスについてより深く理解できます。理解が深まることで、購入や申し込みの可能性が高まります。
信頼感の醸成
会社情報や実績紹介など、複数のページを見ることで企業への信頼感が高まります。信頼感は購買決定の重要な要素となります。
比較検討の機会増加
関連商品や類似サービスを比較検討することで、ユーザーのニーズに合った提案が可能になります。これは成約率の向上につながります。
具体的な効果として、以下のようなメリットが期待できます。
・商品やサービスの理解度向上
・問い合わせや資料請求の増加
・カート放棄率の低下
・リピーターの増加
ただし、直帰率の改善だけを目的とした施策は逆効果になる可能性があります。ユーザーのニーズを理解し、適切なコンテンツと導線を設計することが重要です。
直帰率を改善する7つの具体的な方法
直帰率の改善には、様々なアプローチが考えられます。
ここでは、効果が高く、比較的取り組みやすい7つの方法を紹介します。
1)ユーザーの意図とコンテンツを一致させる
ユーザーが求める情報と、提供するコンテンツを一致させることが最も重要です。
まず、検索キーワードからユーザーの意図を分析し、それに応える情報を記事の冒頭に配置しましょう。タイトルと内容の整合性を確保することも大切です。
特に専門的な内容を扱う場合は、適切な解説を加えることで理解を助けます。ユーザーが抱える具体的な悩みに対して、明確な解決策を示すことを心がけてください。
ユーザーの意図とコンテンツを一致させる、キーワード選定について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
2)直感的な導線設計とUI向上
ユーザーがストレスなく次のアクションに進めるよう、分かりやすい導線を設計することが重要です。
重要な情報や機能は画面の上部に配置し、メニューの階層はシンプルな構造にまとめましょう。特にスマートフォンでの操作性を重視し、十分な大きさのクリック領域を確保することが効果的です。
スマホユーザーが快適に利用できるように最適化されたことを指す、モバイルフレンドリーについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
≫【最新】モバイルフレンドリーなサイトを作るための5つの方法
3)ファーストビューの最適化
ページを開いて最初に表示される領域は、直帰率に大きく影響します。
まずページの目的を明確に伝えるヘッドラインを設置し、ユーザーの興味を引く画像や動画を効果的に配置します。
重要な情報は上部に集約し、自然とスクロールしたくなるようなデザインを心がけましょう。
重要な冒頭の文に関するライティングについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
4)ページ読み込み速度を改善する
表示速度の改善は、ユーザー体験とSEOの両面で重要な要素です。
画像の最適化や不要なプラグインの削除など、基本的な対策から始めましょう。サイトの規模に応じて、キャッシュの活用やCDNの導入も検討すると良いでしょう。
サイトの表示速度に関してより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
≫【簡単】サイト表示速度を劇的に改善する具体的な手順と優先順位
5)離脱の原因を分析するツールの活用
ユーザーの行動を正確に把握することで、効果的な改善が可能になります。
ヒートマップでクリックされやすい場所を確認し、スクロールマップで実際に読まれている範囲を把握します。さらに、アクセス解析での滞在時間分析や、実際のユーザー行動の記録を確認することで、具体的な改善点が見えてきます。
ヒートマップについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
≫執筆中
6)適切な内部リンクで次の行動を促す
関連性の高いコンテンツへの誘導は、サイト内の回遊を促進する重要な要素です。
文章中に自然な形で関連記事を紹介したり、目次やサイドバーを効果的に活用しましょう。カテゴリーやタグを整理することで、ユーザーが求める情報に素早くたどり着けるようになります。
内部リンクについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
7)集客経路の適正化
流入元に応じた最適化を行うことで、より質の高いアクセスを集めることができます。
検索からの流入には検索意図に合ったコンテンツを、SNSからの流入にはソーシャルメディア向けのタイトルを設定します。広告からの流入にはランディングページを最適化し、メルマガからの流入にはメール内容との整合性を確保することが重要です。
集客経路の適正化についての基本的なテクニックは「トピッククラスター」です。
トピッククラスターについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
≫【やさしく解説】トピッククラスターの作り方4ステップとを徹底解説
まとめ|直帰率を適切に把握し改善へつなげよう
直帰率は、Webサイト運営においてユーザー行動を把握し、サイトの課題を見つけるための重要な指標です。高い直帰率は、ユーザーのニーズとコンテンツの不一致や、ページの読み込み速度、導線設計などに課題がある可能性を示しています。一方で、サイトの種類や目的によって「適切な直帰率」は異なるため、業界平均や流入経路ごとの傾向を踏まえた柔軟な判断が求められます。
また、直帰率を改善するには、ユーザーが求める情報を提供するコンテンツ作成や、UI・UXの向上、内部リンクの適切な配置、さらにはGoogleアナリティクス(GA4)の活用が鍵となります。これらの施策を実施することで、直帰率を低下させるだけでなく、CVRの向上やユーザー体験の改善といったプラスの効果も期待できます。
Webサイト運営は、直帰率をはじめとするデータの適切な分析と、改善のための継続的な取り組みが成功の鍵です。ぜひこの記事を参考に、自サイトの課題を明確にし、ユーザーにとって価値のあるサイトを目指して取り組んでみてください。